政治をもっと身近にするアプリ、Voterって知ってますか?

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ロサンゼルス発のスタートアアップ「Voter」は「Matchmaking for politics 」という言葉を掲げています。
2016年11月の米国大統領選挙に向け、昨年の秋にローンチされました。このモバイルアプリには、CEO/創業者のHunter Scarboroughが自分を含むミレニアル世代と政治をもっと身近なものにしようという思いが込めらています。
ミレニアル世代は従来の新聞やテレビへ懐疑的であり、どの世代と比べても接触頻度が低く、候補者のスピーチや支持者の情報が 少ない傾向にあります。特にアメリカで1962年以降、18〜24歳の投票率が他の年齢層と比較して、とても低い数字を見せています。30歳以下の投票率は45%(2012年)前後となっています。日本の30歳以下の投票率32%(2015年)と比べると高い数値ですが、米国では半数にも満たないのは低すぎるとみなされます。この課題とVoterは向き合い、テクノロジーを活用し、政治をもっとシンプルなプロセスに変えようとしています。
まずはVoterの紹介に入る前に、少しだけアメリカの政治事情をお話ししたいと思います。アメリカの大統領選挙は4年に一度行われ、1951年より再選は1回までという決まりができました。現大統領のオバマ氏は既に2期目であり、来年は新大統領が誕生します。大きく分け、Democratic(民主党)とRepublicans(共和党)の二大政党が争っており、各党の候補者を一人に絞る「予備選挙」を経て、最終的な大統領を決める本選挙が2016年11月に行われます。
現在、Democratic側では本命とみられているヒラリー・クリントン元国務長官(写真右)と自らを「民主社会主義者」と呼ぶバーニー・サンダース上院議員(写真左)がしのぎを削っています。
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一方でRepublicansでは、不動産王と呼ばれるドナルド・トランプ氏が優勢な立場を取っています。過激な発言が有名ですが、多くのアメリカ人から支持を得ているのも事実です。
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そしてこの激しい戦いの水先案内人が「voter」です。

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現在はItunesアプリをベースにサービスを展開しています。どこか、異性とマッチするデーティングアプリ「tinder」を彷彿させるUIです。画面にはイデオロギーに関する質問が表示され、右(賛成)、左(反対)と画面をスワイプすることで自分の意見を決めることが出来ます。

 

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若者の利用を想定しているため、質問事項もとても分かりやすく書かれています。
「ドラッグは合法にすべきか?」
「最低賃金は上げるべきか?」
「LGBTの結婚を良しとするか?」

例えば、

「憲法第◯条〜」
「◯◯法案には〜」
などの難しい質問はありません。若者目線で、彼らに関係するであろう質問が出てきます。質問数も8問と、非常にシンプルになっています。

すべての質問を終えると、あなたの考えが、どのParty(政党)とCandidate(候補者)に一番近いか分析が行われます。より精度を高めたい人には、さらに細かな質問も用意されています。私も実際に試してみましたが、非常にシンプルなUIであり、空き時間にサクッと出来る感覚を受けました。

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各候補者の詳細な情報を閲覧することができ、voterのプラットフォーム上で他ユーザと意見を交わすことも可能です。
ここで少し日本へ視点を移してみます。実は数年前から、日本でもこうした政治マッチングのサービスは存在していました。
名前を聞いたことはあるものの、使ったことのある方は意外と少ないはずです。UI/UXの視点からも、「質問内容が羅列されており、どこを押すべきか考えてしまう」、「ページ内で複数回クリックする必要があり面倒だ」、「質問が難しくて、答えられない」、「終わりが見えず、途中でやめてしまった」、こんな経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。例えば、下記のようなウェブサイトが存在しています。

 

「日本政治.com」
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「毎日新聞ボートマッチ」
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これら日本のサービスと「Voter」を比較すると、やはり「Voter」が圧倒的にUI/UXを考え抜いていることが伺えます。

「Voter」の採用している「カードスワイプ」型のUIは、米国の心理学者やUI/UX研究者の間で、“infinite scroll”モデルと呼ばれています。具体的な例を挙げてみましょう。まっさらな机の上に何かが置かれている状況を想像してみてください。そしてあなたはあの手この手で、この物体が何かを探ります。しかし、いつまでたってもこれが何かを理解することはできません。

同様に、“infinite scroll”モデルも、いくらスワイプしようとゴールに辿り着けません。この状況下で、あなたは相当な「フラストレーション」を感じることになるでしょう。しかし一方で、人は自分自身で意思決定できることに「楽しさ」を感じます。“infinite scroll”モデルは「右か左」で物事を決めていくため、スワイプする瞬間に「楽しさ」の感情を生み出すのです。

昨今、新しいサービスにしばしば採用される「カードスワイプ」型のUIですが、シンプルで完璧ということはなく、メリット以上にデメリットも内包しています。しかし、この「フラストレーション」をできるだけ少なくし「楽しさ」を最大化すること。ボタン一つのデザインから質問の内容まで全ての要素を緻密に設計することで、その本来の強みを発揮します。

Voterのように質問形式のアプリは、ユーザが途中で離脱することが大きなボトルネックになりますが、「カードスワイプ」型のUIを採用し、UI/UXの観点をしっかりと捉えることで、「シンプル」と「楽しさ」を上手く引き出しています。ここが「Voter」の強みであり、ローンチ後3ヶ月で30,000人を超えるユーザの獲得に成功した理由です。ロサンゼルスで成長が期待されるスタートアップの一社と言われているのも頷けます。政治マッチングサービスのように決して新しい概念でなくとも、UI/UXを徹底的に作り込むことで、価値あるサービスへ昇華できることをVoterが証明しています。

Voter創業者のスカプラー氏は今後、専門の調査会社と質問内容を精査したり、このアプリを起点に新たな政治関連のサービスを立ち上げようとしています。米国も日本も次の時代を作るのは、「投票をしない若者たち」です。彼らが政治に興味持った時、人が、国が、変わるかもしれません。その一翼を担うであろう「voter」に今後の期待を込め、一票を入れたいと思います。

このブログは米国オフィスのアカウントエグゼクティブ、Yusukeが執筆いたしました。


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